遺書
夢を見ていた。
それには綺麗な人や萌ゆる愛、そういうものがあった。
つらい事も酷い人も勿論あったけれど、それに勝るくらいの夢が僕にはあった。
月に行けると錯覚した。青い地下も赤い空も思うが儘だ。
本当は物質的に君を抱きしめたかったけれど、時間が来た。
いつか看守がしらせたモザンビークは存在しなかったみたいだ。
でも、そんなこと最初から知っていた。
この声が始まってから今 雷うつ曇天まで、それは繋がっているんだから。
僕は歓喜している、僕はこれからどこへいくんだろう?
あの部屋じゃなきゃいいな。楽しいことがたくさんあればいいと思う。
後悔は好きじゃないから、君を愛しているって伝えたい。
美しい夢の終わりには 枯れた薔薇が一本だけ刺さっている。
(2023/8/1 加筆・修正)